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【記事1】隣の空き家の庭木が越境!2023年民法改正で何が変わった?【対処法の結論】

隣の空き家から庭木が伸びてきて困っているんですが、何から調べればいいかわかりません…
まずはこの記事で全体像を把握しましょう。あなたに合った解決策が見つかります。

この記事は全6記事シリーズの第1弾です。

【全6記事の構成】

記事1:基礎知識・結論編(←今ここ)
記事2:自己負担での切除の実践方法
記事3:自治体の活用方法
記事4:所有者の特定・交渉
記事5:かかった費用を所有者に払ってもらうには
記事6:Q&A・まとめ

まず全体像を把握して、あなたに合った解決策を見つけましょう。

第1章: 【結論】まず何をすべきか

あなたに合った3つのルート
隣の空き家から伸びてきた庭木への対処法は、状況によって3つのルートがあります。

【ルート1】自分で費用を負担し切除する方法

所要期間:2週間〜1ヶ月
費用目安:3万円〜数十万円
推奨ケース:被害が進行中、所有者不明
詳しくは→記事2で解説

【ルート2】自治体を活用する方法

所要期間:1ヶ月〜3ヶ月
費用目安:無料(相談・指導のみ)
推奨ケース:危険度が高い、公道にも越境
詳しくは→記事3で解説

【ルート3】所有者を特定して交渉

所要期間:3ヶ月〜6ヶ月
費用目安:5万円〜30万円(弁護士費用含む)
推奨ケース:賠償請求したい、恒久的解決を望む
詳しくは→記事4で解説

この記事では、どのルートを選ぶべきか判断するための基礎知識をお伝えします。

まず確認すべき3つのポイント

どのルートを選ぶにしても、まず以下を確認してください。

1. 越境の証拠を残す

庭木が境界を越えている状況を記録します。

必要な写真:境界標(コンクリート杭など)と越境枝の位置関係
メジャーで測った越境幅(数値が見えるように)
枝が建物に接触・損傷させている状況
全体像(隣家と自宅の関係がわかるもの)

最低10枚、できれば20枚以上撮影しましょう。
動画も有効です。風で枝が揺れて屋根を叩く様子など、静止画では伝わらない被害状況を記録できます。

2. 被害の有無を記録

越境だけでなく、実際の被害も記録します。

確認すべき被害:屋根や外壁の傷・汚れ
雨樋の詰まり・破損
日照被害(室内の明るさ、洗濯物が乾かないなど)
落ち葉の堆積状況

これらを写真とメモで詳細に記録してください。日付入りの写真が望ましいでしょう。

3. 隣家の状況を把握

空き家かどうか、以下で確認します。

チェック項目郵便物は溜まっているか
電気メーターは動いているか(夜間に確認)
ガスメーターの検針票は古いままか
雨戸やカーテンは閉まったままか
庭の雑草の状態(手入れの形跡があるか)
たまに人が来ている様子があれば、完全な空き家ではありません。その場合は所有者との交渉ルートを検討すべきでしょう。

注意事項証拠がないまま切除してしまうと、後から「勝手に切った」とトラブルになる可能性があります。

必ず事前に記録を残しましょう。特に境界の位置は重要です。

緊急度で判断する

ルート選びに迷ったら、被害の緊急度で判断するのが現実的でしょう。

今すぐ対処が必要(ルート1)

強風で枝が屋根を叩いている
台風シーズンが近い
すでに雨樋が破損している
→記事2:自己切除編へ

1〜3ヶ月の猶予あり(ルート2)

公道にも越境していて通行に支障
隣近所も困っている
自治体の指導で改善する可能性がある
→記事3:自治体活用編へ

時間をかけて解決したい(ルート3)

すでに被害が出ていて賠償請求したい
恒久的な解決(伐採・更地化)を求める
費用と時間をかけられる
→記事4:所有者交渉編へ

次の第2章では、2023年民法改正で何が変わったのかを詳しく見ていきます。
この改正を知らないと、古い情報に振り回されて対処を誤る可能性があります。

第2章: 2023年民法改正で何が変わったか


ネットで調べたら「所有者の許可なく切ると違法」って書いてあったんですが…
それは改正前の情報ですね。2023年4月の民法改正で、一定の条件下では所有者の許可なく切除できるようになりました。

改正前は「泣き寝入り」が当たり前だった。

2023年3月まで、越境してきた庭木を勝手に切ることはできませんでした。
民法233条1項(改正前)には、こう書かれていました。
隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
「切除させることができる」という表現がポイントです。
これは「自分で切る」ことではなく、「所有者に切らせる」ことを意味します。

つまり、必ず所有者の協力が必要だったのです。

改正前の実態

空き家の所有者はどこにいるかわからない。 連絡先も不明。 相続でもめていて誰が所有者かすら確定していない。

こうしたケースでは、被害を受けている側が何もできませんでした。

庭木の越境ごときで、そこまでコストをかけられる人は少ないでしょう。
結果として、多くの人が泣き寝入りしていました。

新ルール3つのポイント


2023年4月1日に施行された改正民法では、以下の場合に自分で切除できるようになりました。

1. 所有者に催告したが応じない場合

「○月○日までに切除してください」と催告したのに、相手が対応しない。
この場合は、相当の期間(通常2週間〜1ヶ月)経過後に自分で切除できます。
催告は内容証明郵便で行うのが確実です。費用は1,500円程度でしょう。
具体的な催告の方法は、記事4で詳しく解説します。

2. 所有者を知ることができない場合

これが今回の改正で最も重要なポイントです。
空き家で所有者不明、相続人も特定できない。こうした場合は催告なしで切除可能になりました。
ただし「知ることができない」の判断基準には注意が必要です。

必要な調査登記簿謄本の取得(法務局で600円)
現地での確認(郵便物、人の出入り)
近隣住民への聞き取り(可能な範囲で)

これらを「やった」と言えるだけの記録があれば、「知ることができない」と判断できる可能性が高まります。

具体的な切除手順は記事2で解説します。

3. 急迫の事情がある場合

台風が近づいている、今にも倒れそう、といった緊急時は即座に切除できます。

「急迫」の具体例:台風接近中で倒木の危険
地震で傾いた木が隣家に倒れかかっている
大雪で枝が折れかけている

これらの場合、所有者の許可を待っていたら被害が拡大します。
民法はそうした緊急避難的な切除を認めたわけです。

条文の正確な理解

改正後の民法233条3項を確認しておきましょう。

次に掲げる場合には、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。 一 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。 二 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。 三 急迫の事情があるとき。

この条文の「できる」は、権利として認められているという意味です。

つまり、上記3つのいずれかに該当すれば、法的に正当な行為として切除できるわけです。

「知ることができない」の判断基準

ここが実務上の最大のポイントです。
「所有者を知ることができない」とは、どの程度調査すれば認められるのか?
法務省の解釈では、以下のような調査が期待されています。

最低限必要な調査登記簿謄本の取得
現地での確認
近隣住民への聞き取り
望ましい調査
住民票・戸籍の調査(ただし本籍地不明なら困難)
固定資産税の納税者情報照会(自治体によっては対応)

所有者を戸籍から追跡する詳しい方法は、記事4で解説します。

注意事項「知ることができない」の判断基準は明確ではありません。

安易に判断して切除すると、後から所有者が現れて「調査不足だ」とクレームをつけられるリスクがあります。

可能な限り弁護士に相談してから実施することを推奨します。

改正の実務的インパクト

この改正、不動産業界では「画期的」と評価されています。

なぜなら、空き家問題の最大のネックが「所有者不明」だったからです。

従来は所有者を特定するだけで、弁護士費用が数十万円かかっていました。

しかも特定できても、相続人が「私は相続放棄した」「他の相続人に言ってくれ」と責任のなすりあいになるケースも多かったのです。

改正後は、合理的な範囲で調査して「知ることができない」と判断できれば、その手続きをスキップできます。

被害者にとっては大きな前進と言えるでしょう。

「根」は今も自由に切れる

一つ覚えておくべきことがあります。
今回の改正は「枝」についてのみで、「根」は改正前から自分で切除できました(民法233条4項)。

隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。

根が越境してきて、自宅の基礎を傷めている場合は、所有者の許可なく自由に切除できます。

枝よりも根の方が、実は自由度が高いのです。

この違いは、枝を切ると樹木全体に影響するのに対し、根は部分的な切除が可能という理屈から来ています。

根は地中で広がっているため、一部を切っても樹木は生き続けることが多いからです。

この記事のまとめ

2023年民法改正のポイント所有者に催告しても応じない→自分で切除可能
所有者を知ることができない→自分で切除可能
急迫の事情がある→自分で切除可能

次に読むべき記事
あなたの状況に合わせて、以下の記事に進んでください。

今すぐ切除したい方 → 記事2:空き家の越境庭木を自分で切除する方法

【記事2】空き家の越境庭木を自分で切除する方法【準備・業者選び・費用相場】

費用をかけずに解決したい方 → 記事3:空き家の越境庭木、自治体(市役所)に相談する方法

【記事3】空き家の越境庭木、自治体(市役所)に相談する方法【空家法の活用】

所有者を見つけて費用請求したい方 → 記事4:空き家の所有者を戸籍から特定して交渉する方法

【記事4】空き家の所有者を特定する方法【空き家の庭木トラブル】

費用回収が現実的か知りたい方 → 記事5:かかった費用を所有者に払ってもらうには

【記事5】空き家の越境庭木の切除費用は回収できる?【現実的な見通しと手続き】

よくある質問を確認したい方 → 記事6:空き家庭木越境トラブル完全ガイド【Q&A・まとめ】

【記事6】空き家の越境庭木トラブルQ&Aと解決へのまとめ

小沼克年

小沼克年

【報道記者の経験も‼硬派な編集者】株式会社エスバー(井越企画)専務|井越企画の立ち上げメンバー|造園現場の経験も豊富|20代の頃からwebメディア企画(福祉サービス業、キッチンカー、メンズ美容ブランド)に従事|趣味はホームパーティー、スニーカー収集、DIY

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