「A社は3万円、B社は9万円でした。どちらが正しい金額なんでしょうか?」
「A社は3万円、B社は9万円でした。どちらが正しい金額なんでしょうか?」
こういったご相談をいただくことがあります。
結論から言えば、どちらも「ぼったくり」でも「良心的」でもない可能性が高いです。
金額差の正体は、そもそも得意とする工事の規模、クオリティの違いと言えるでしょう。

植木屋・造園業者は、大きく分けると3つの括りに分類できます。
- 個人邸宅の施工を中心とした業者
- 民間企業など法人の仕事も受注できる業者
- 官公庁・URの大規模団地など公共案件を施工する業者。
雇用体制・保険加入・安全管理に至るまで、全く別物と言えるほどこれらの業者の性質は異なります。
この記事では、その構造を解説したうえで、見積もりを受け取ったときに「この業者はどのタイプか」を見極めるための判断材料をお伝えします。
植木屋・造園業者の3階層構造
植木屋・造園業者は、受注できる案件の性質によって大きく3つのタイプに分けられます。

| 階層 | 主な発注元 | 特徴 |
|---|---|---|
| 第1層 個人邸宅専門 | 一般個人・マッチングサイト経由 | 職人本人または少人数。低コスト構造。繁忙期のスポット人員を活用。 |
| 第2層 民間BtoB対応可 | 店舗・商業施設・医療福祉施設・マンション管理組合など | 常用雇用あり。法人対応・請求書対応が可能。保険加入・安全管理体制あり。 |
| 第3層 官公庁・公共インフラ対応可 | 国・都道府県・市区町村・UR都市機構・高速道路会社など | 入札資格・施工体制台帳・有資格者配置・安全管理計画の提出が必須。外部機関による審査通過が前提。 |
POINTマッチングサイト(くらしのマーケット・ジモティーなど)に掲載されている業者の多くは第1層です。
第1層と第3層の業者が同じ「剪定・伐採」の検索結果に並ぶことがありますが、それらの業者が負担しているコスト(人件費、保険や税金など)は全く異なります。
この2社を「どちらが安いか」だけで比較しようとすると、判断軸が噛み合いません。
コスト構造の違い——なぜ単価が変わるのか
第1層と第3層の見積もり金額が大きく違う理由は、それぞれが負担しているコストの性質が根本的に異なるからです。

第1層(個人邸宅専門)のコスト構造
個人事業主または少人数の第1層業者は、職人本人の人件費と繁忙期のスポット人員が中心です。
一件あたりの施工費も5万円程度が最も多いと思われます。

常用雇用を抱えないため固定の労務コストがほぼ発生しません。
この「身軽さ」が低価格の理由です。
また、個人事業主の場合は法人住民税の均等割(法人の場合は黒字・赤字に関わらず発生する固定費)・社会保険の会社負担分・税理士顧問料などのランニングコストが発生しません。
価格を低く設定できる構造的な理由がここにあります。
第3層(官公庁・公共対応可)のコスト構造
官公庁・法人の案件を継続的に受注するには、常用雇用による施工体制の維持が前提になります。
つまり人件費の負担が大きいということ。

国などの工事を請け負うには、施工体制台帳・安全管理計画などの要件を満たす必要があります。
これらを満たすには常用雇用(フルタイム、社保完備)での人件費の支払が必須といえます。
また国やそれに準拠する団体が発注する工事では、建設業退職金共済(建退共)への加入が前提になります。
建退共は建設労働者の退職金制度で、事業主が工事の就労日数に応じた掛金を積み立てる仕組みです。
事業主は建退共の掛金をコストとして払い続けています。

| 比較項目 | 第1層(個人邸宅専門) | 第2層(民間BtoB) | 第3層(官公庁・公共対応) |
|---|---|---|---|
| 雇用形態 | 事業主本人+スポット | 常用雇用あり | 常用雇用(複数名) |
| 人件費 | 低い(社保負担なし) | 中程度 | 高い(建退共・社保完備) |
| 法人格 | 個人事業主が多い | 法人が多い | 法人(必須に近い) |
| 固定費 | 低い | 中程度 | 高い(均等割・顧問料等) |
| 対応可能な発注元 | 個人 | 個人・民間法人 | 個人・民間・官公庁・UR |
POINT「安い業者=悪い業者」ではありません。
第1層の業者は第1層の仕事に特化して低コスト構造を実現しています。
問題が生じるのは、第1層の業者に第3層相当の仕事(保険・安全管理・発生材処理の要件を満たした施工)を求めようとするときです。
その体制を支えるもう一つの要素:保険
コスト構造の延長として、保険への加入状況も階層を見極める重要な指標です。

損害賠償保険
施工中に隣家の塀・車・配管を傷つけた場合の対物賠償責任を補償します。
公共・法人案件では加入が必須要件とされることがほとんどです。
個人邸宅専門業者の中には未加入または補償範囲が限定的な保険しか持っていないケースがあります。
労災保険・社会保険
常用雇用をしている業者は、雇用保険・社会保険(健康保険・厚生年金)・労災保険の加入が法令上の義務です。
スポット人員を使う場合でも、現場での事故に備えた保険体制が必要になります。
公共案件では施工体制台帳に社会保険加入の確認が含まれます。
なぜ官公庁・UR案件は「誰でも」は受けられないのか
「うちは官公庁の仕事もしています」と言うのは簡単ですが、実際に受注するためには外部機関の審査を通過する必要があります。

自己申告で成立する話ではありません。
入札資格審査
国・都道府県・市区町村の公共工事を受注するには、発注機関ごとに入札参加資格の審査を受け、登録を完了させる必要があります。
審査では財務状況・施工実績・技術者の配置・保険加入状況などが確認されます。
審査を通過していない業者は、入札に参加すること自体ができません。
施工体制台帳・安全管理計画の提出
公共案件では、工事着手前に施工体制台帳(誰が・何の役割で・どの有資格者を配置するか)と安全管理計画の提出が求められます。
これは発注者(行政機関など)が施工品質と安全性を事前に確認するためのものです。
提出書類を揃えられない業者は、そもそも施工を開始できません。
有資格者の配置
公共工事では、工事の規模・種類に応じて、一定の国家資格(造園施工管理技士など)を持つ担当者の配置が必要になるケースがあります。
資格者がいなければ受注できない案件があります。
POINT官公庁・UR案件の施工実績は「自分で言えば成立する実績」ではなく、発注者側の審査・要件を満たした上で積み上げてきた実績です。
この点で、個人邸宅の施工実績とは性質が異なります。
KY活動(危険予知)と安全管理体制
KY(危険予知)活動とは、作業開始前に「この現場でどんな危険があるか」を作業員全員で確認・共有する安全管理の実践です。
公共・BtoB案件ではKY記録の保管が求められることがあります。
こういった安全管理の習慣は、個人邸宅の施工でも同様に適用されます。
POINT保険・社会保険・安全管理体制はそれぞれ固定コストを発生させます。
これらを維持していることが、「なぜ見積もりが高いのか」という問いの答えの一つです。
元請と下請の違い
官公庁・法人案件に対応できる業者は、元請として発注者に対して直接責任を負う立場で仕事をしていることが多いです。

元請は施工の品質・安全・工程管理・発生材処理に至るまで一貫して責任を持ちます。
一方、下請は元請の指示のもとで一部の作業を担います。
個人邸宅の施工においても、元請として仕事を完結させてきた業者は、施工全体を俯瞰して管理する経験を積んでいます。
「依頼したら別の業者が来た」という経験をした方がいると思いますが、これは元請業者が下請に発注していたケースです。
元請か仲介かは、見積もり段階で確認できます。
発生材(枝葉や幹)の適正化
剪定・伐採では必ず枝葉や幹が発生します(発生材)

公共案件では発生材の処理状況がチェックされます。
この基準が、個人邸宅の施工でもそのまま適用されます。
「安く済んだが、庭の枝葉をどこに捨てたかわからない」というケースは、発生材の扱いが適正に行われていない可能性があります。
POINT弊社では伐採・剪定で発生した枝葉・幹を適正にリサイクル処理しています。
処分費は見積もりに含まれており、後から加算されることはありません。
依頼者側が見極める方法(チェックリスト)
見積もりを依頼する前・受け取ったあとに、以下の点を確認することで業者の階層をある程度把握できます。

施工実績の確認
確認ポイント・官公庁・UR・高速道路会社など公共インフラの施工実績があるか
・民間法人(商業施設・医療施設・マンション管理組合など)の施工実績があるか
・施工前後のBefore/After写真が掲載されているか
保険・資格の確認
確認ポイント・損害賠償保険の保険証券を提示してもらえるか
・社会保険・労災保険に加入しているか
体制・契約の確認
確認ポイント・元請として施工するか、下請業者に発注するか
・常用雇用の職人が施工するか、スポット人員が来るか
・見積書に作業内容・処分費が項目別に明記されているか
発生材処理の確認
確認ポイント・処分費・運搬費が見積もりに含まれているか(別途になっていないか)
これらの確認を嫌がる業者・曖昧にしか答えない業者は、第1層の体制しか持っていない可能性があります。
質問に対する回答の明確さが、業者の実態を示すシグナルです。
まとめ——「安さの比較」より「階層の見極め」を
「A社は3万円、B社は9万円」という見積もりの差は、どちらかが不当な金額である可能性より、そもそも対応できる仕事の階層が違う可能性の方がずっと高いです。
第1層の業者は、第1層の仕事(個人邸宅の小規模な剪定・草刈りなど)において適正な価格を提示しています。
一方、第3層相当の体制を持つ業者は、その体制を維持するコストが見積もりに反映されます。
これは「高い」ではなく「そういうコスト構造で動いている」ということです。
個人邸宅の案件であっても、BtoB・公共基準の安全管理・保険・発生材処理体制を持つ業者に依頼することはできます。
どちらを選ぶかは依頼者の判断ですが、その判断を「安さだけ」で行うと、体制の違いが見えなくなります。
井越企画の位置づけ
弊社・井越企画は、国道の並木管理・UR都市機構団地の植栽管理など公共・BtoB案件の施工実績を持つ造園業者です。
個人邸宅のご依頼も、同じ安全管理・保険体制・発生材処理基準のもとで対応しています。
「相場だけ知りたい」
「他社の見積もりと比べたい」
という段階からご相談いただけます。
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弊社・井越企画は埼玉県草加市を拠点に、個人邸宅から官公庁・UR案件まで自社施工で一括対応しています。
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