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大規模修繕の主導権は「植栽費用の見直し」から|管理会社に左右されない理事会の動き方

大規模修繕も、結局
管理会社の言う通りに
進んでしまう気がします

いきなりそこを変えるのは
実はかなりハードルが高いんです。

でもその前にできることがあります

この記事でわかること
大規模修繕で「管理会社主導」が一般的になっている実情
いきなり大規模修繕の主導権を握ることが難しい理由
植栽という低額領域から始めることの戦略的な意味
実際にあった事例
こんな人におすすめ
大規模修繕でも管理組合の意向が反映されないと感じている
理事会として管理会社への依存から脱したいが、何から始めればいいか分からない
小さな成功体験を積み重ねて運営体制を変えたい

大規模修繕で「管理会社主導」が一般的になっている実情

大規模修繕は、管理組合にとって最も金額が大きく、影響も大きい意思決定です。しかし実際には、管理会社が主導する形で進むケースが多いのが実情です。

管理会社への発注が最も多いという調査結果

国土交通省が行った調査によれば、大規模修繕工事の依頼先として「管理委託契約をしている管理会社」が最も高い割合を占めているという結果が出ています。これは特別なことではなく、多くのマンションで見られる一般的な傾向です。

管理会社主導のメリットとデメリット

管理会社主導方式の特徴
メリット:管理組合の負担が大きく減る、専門知識がなくても進めやすい
デメリット:管理組合の意向が反映されにくい、相見積もりを取らないまま契約に至ることがある

大規模修繕工事は、管理委託契約の範囲外であるため、必ずしも管理会社に依頼する必要はありません。しかし「普段管理を任せている会社からの提案だから」と、比較検討をせずに進めてしまう管理組合も少なくないのが実情です。

「任せておけば安心」という思い込みが主導権を手放す入り口になる

管理会社に日常の管理を任せていること自体は問題ではありません。ただし、「任せている=すべてお任せしていい」という思い込みが、いつの間にか大きな意思決定まで管理会社主導に委ねてしまう入り口になりやすい、という点には注意が必要です。

いきなり大規模修繕の主導権を握ることが難しい理由

「では大規模修繕から主導権を取り戻そう」と考えても、実際にはそう簡単ではありません。

金額が大きく、合意形成のハードルが高い

大規模修繕は数百万円から数千万円単位の金額になることが珍しくありません。金額が大きいほど、理事会・総会での合意形成に慎重さが求められ、方針転換自体が難しくなります。

専門知識が必要で、対抗する材料を持ちにくい

建物診断、設計監理、施工業者の選定など、大規模修繕には専門的な知識が求められます。理事会にその知識がない状態で「管理会社の提案はおかしいのでは」と主張しても、説得力のある根拠を示せず、話が進まないことがほとんどです。

「今の進め方に慣れている」住民からの反対

長年、管理会社主導で進めてきたマンションほど、「今までのやり方で問題なかった」という住民の声が根強く残っています。実績のない状態でいきなり方針転換を提案しても、賛同を得にくいのが現実です。

植栽という低額領域から始めることの戦略的な意味

ここで有効なのが、大規模修繕とは切り離して、植栽管理という低額領域から着手するという考え方です。

金額が小さく、合意形成のハードルが比較的低い

植栽管理の費用は、大規模修繕と比べればはるかに小さな金額です。金額が小さいからこそ、理事会内での提案・承認のハードルも低く、方針転換を試しやすい領域だといえます。

「比較して決める」という経験を、リスクの低い領域で積める

相見積もりを取り、比較し、業者を選び、理事会で説明する。この一連のプロセスは、大規模修繕でもまったく同じ構造をたどります。植栽という失敗しても影響の小さい領域で、この経験を先に積んでおくことができます。

この経験と実績が、大きな意思決定への説得材料になる

「植栽管理を見直したら、これだけの差があった」という具体的な実績は、「他の領域でも同じように比較検討すべきではないか」という提案の裏付けになります。理事会・総会で方針転換を提案する際、実績のない主張と、実際にやってみた実績を伴う主張とでは、説得力がまったく異なります。

実際にあったケース

実際にあったケース

ある管理組合の理事様から、井越企画にこのようなご相談をいただきました。

「管理会社が植栽管理の外注業者選定から契約実行まで、すべて単独で決定・執行している。費用が高く、作業内容も雑に感じる。管理会社の運用が適正かどうか助言してほしい。そのうえで見積もりを取りたい」

というご依頼でした。

お話を伺う中で見えてきたのは、費用だけの問題ではありませんでした。このマンションでは、大規模修繕工事においても、管理会社が外注業者の選定を主導し、管理組合の意向が十分に反映されないという状態が続いていました。

理事の方はこう考えていらっしゃいました。

「大規模修繕のような大きな金額をいきなり管理組合主導に切り替えるのは難しい。まずは植栽という比較的低額な工事から、管理組合が自ら業者を選び、決定するという実績を作りたい」

つまり植栽管理の見直しは、単なるコスト削減ではなく、管理組合が意思決定の主導権を取り戻すための第一歩という位置づけでした。

現地を確認し、実際に行われている作業内容を精査したところ、不要な作業や過剰な内容が含まれていることが分かりました。中間マージンも含め、管理組合が支払っていた金額は年間約20万円でした。

井越企画で同等以上の内容を精査した上でご提案した見積もりは年間約8万円。年間で約12万円のコスト削減となりました。

そしてこの理事の方にとって重要だったのは、金額差そのものよりも、「管理組合として比較検討し、決定した」という事実を実績として残せたことでした。この実績は、その後の大規模修繕を含めた運営体制の見直しに向けた、具体的な足がかりになりました。

植栽から始める場合の進め方

相見積もり・業者選びのプロセスをそのまま使う

記事4・5で解説した相見積もりの取り方、業者選びのチェックリストは、そのまま植栽管理の見直しに活用できます。特別な手法は必要なく、まずはこの一連の流れを実際にやってみることが重要です。

「見直せた」という事実を実績として記録しておく

見直しが完了したら、金額の変化、進め方、理事会での合意形成のプロセスを書面で残しておくことをおすすめします。次に大規模修繕などの大きな意思決定を提案する際、この記録がそのまま説得材料になります。

次のステップへのつなげ方

植栽管理の見直しが実績として認められたら、「同じように比較検討してはどうか」という提案を、他の管理業務(清掃、設備点検、そして大規模修繕)に広げていくことができます。焦って一気に進めるのではなく、実績を積み重ねながら段階的に進めることが、結果的に反対の少ない進め方になります。

まとめ

大規模修繕でいきなり主導権を握ろうとしても、金額の大きさと専門性の壁によって、多くの場合うまくいきません。

まずは植栽のような低額領域で、「比較する」「決める」という経験と実績を積むこと。これが、遠回りに見えて、実は大規模修繕という大きな意思決定に備える最も現実的な近道です。

記事1〜5で解説してきた内容は、そのままこの第一歩を踏み出すための手順として活用いただけます。

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小沼克年

小沼克年

【報道記者の経験も‼硬派な編集者】株式会社エスバー(井越企画)専務|井越企画の立ち上げメンバー|造園現場の経験も豊富|20代の頃からwebメディア企画(福祉サービス業、キッチンカー、メンズ美容ブランド)に従事|趣味はホームパーティー、スニーカー収集、DIY

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