確認してみたら
ずっと同じ金額で
一度も比較したことが
ありませんでした…
それ自体は珍しくありません。
なぜそうなりやすいのか
構造を知っておきましょう
前回の記事
この記事を読んでいただくことで 就任直後に何を確認すべきか がわかるようになります! この記事でわかること 就任直後にまず確認すべき5つの資料・情報 管理会社に聞くべき質問リスト 「何となく前任者を踏襲」から抜け出すための最初の一歩 こんな人におすすめ 輪番制...
植栽管理費が高くなりやすい構造的な理由
「専門性不足」だけでは説明できない、もう一つの要因
実際にあった費用の差(実例)
高いと感じたときに理事会ができること
記事1で確認した金額に違和感がある
毎年同じ業者、同じような金額で疑問を感じている
相見積もりを取りたいが進め方が分からない
植栽管理費が高くなりやすい構造的な理由
植栽管理の費用について、「なぜか毎年高い」「見直す機会がない」と感じている理事の方は少なくありません。これは決して珍しいことではなく、業界の専門家からも指摘されている構造的な問題です。
管理会社に植栽の専門部署はほとんどない
マンション管理を専門とする団体の調査によれば、管理会社には建物や設備を担当する専門部署や技術者がいる一方で、植栽を専門に見る人材はほとんど配置されていないのが実情だといわれています。「建物・設備保守業務」の契約に植栽が含まれていても、実際の点検は目視での簡易確認にとどまるケースが多いようです。
実際に作業する造園業者も、全体計画までは踏み込まない
一方で、実際に剪定や消毒を行う造園会社側も、年間の定型作業を請け負っているだけで、樹木の将来的なリスクや管理費全体の見直しにまで踏み込んで提案することは、業界全体としてあまり多くないとされています。
結果、誰も「本当に必要な作業か」を検証しない仕組みになっている
管理会社は専門知識がなく、造園業者は請け負った作業をこなすだけ。この間に立つ管理組合には、そもそも比較する材料がありません。誰も全体を見て検証していない、という状態が起きやすい構造になっているのです。
一般社団法人地域緑花技術普及協会(STAGE)が公開している調査によれば、UR団地における樹木管理費は、竣工から15年・25年・35年の時点で比較すると20年間で平均7倍以上に膨らんだという実例が報告されています。1戸あたりの年間負担額も648円から4,768円まで増加し、中には11倍に達したケースもあるとのことです。
植栽管理費は、気づかないうちに年々膨らんでいく性質があるということを、まず知っておく必要があります。
「専門性不足」だけでは説明できないケース
ここまでの構造は、いわば「誰も悪意なく、専門性の空白が生まれている」という話でした。しかし、井越企画がこれまでご相談を受けてきた中には、それだけでは説明のつかないケースもありました。
管理会社が下請け業者を固定で使う仕組み
多くのマンションでは、植栽管理を含む建物管理業務を管理会社に一括で委託しています。管理会社はその業務を、実際には専門の造園・植栽業者に外注していることがほとんどです。
この外注先は、多くの場合固定されています。毎回別の業者を探すコストをかけたくない、長年の取引関係がある業者の方が都合がいい、といった管理会社側の事情によるものです。
これ自体は悪いことではありません。しかし、この固定関係が続くと、価格が適正かどうかを検証する機会が失われていきます。
理事会に提出される見積もりが、最初から1社のものしかない
理事会に提出される見積もりは、多くの場合、管理会社が既に選んだ1社のものだけです。複数社を比較した資料は最初から存在せず、理事は「管理会社が出してきた金額」を判断材料にするしかありません。任期が1〜2年で交代する理事会では、過去の金額との比較すら難しいのが実情です。
中間マージンの割合が、管理組合側から見えない
管理会社が下請け業者に発注する際、管理会社と下請け業者の間には当然、管理会社側の利益(中間マージン)が乗ります。これ自体は委託業務である以上、当然発生するコストです。
問題は、そのマージンの割合が管理組合側から見えないことです。理事会が支払っている金額のうち、どこまでが実際の作業費で、どこからが管理会社の取り分なのか。この内訳が開示されないまま、毎年同じ金額が計上され続けているケースは珍しくありません。
ある管理組合の理事様から、井越企画にこのようなご相談をいただきました。
「管理会社が植栽管理の外注業者選定から契約実行まで、すべて単独で決定・執行している。費用が高く、作業内容も雑に感じる。管理会社の運用が適正かどうか助言してほしい。そのうえで見積もりを取りたい」
というご依頼でした。
お話を伺う中で見えてきたのは、費用だけの問題ではありませんでした。このマンションでは、大規模修繕工事においても、管理会社が外注業者の選定を主導し、管理組合の意向が十分に反映されないという状態が続いていました。
理事の方はこう考えていらっしゃいました。
「大規模修繕のような大きな金額をいきなり管理組合主導に切り替えるのは難しい。まずは植栽という比較的低額な工事から、管理組合が自ら業者を選び、決定するという実績を作りたい」
つまり植栽管理の見直しは、単なるコスト削減ではなく、管理組合が意思決定の主導権を取り戻すための第一歩という位置づけでした。
現地を確認し、実際に行われている作業内容を精査したところ、不要な作業や過剰な内容が含まれていることが分かりました。中間マージンも含め、管理組合が支払っていた金額は年間約20万円でした。
井越企画で同等以上の内容を精査した上でご提案した見積もりは年間約8万円。年間で約12万円のコスト削減となりました。
このケースが示しているのは、費用の差だけではありません。「植栽管理を見直せた」という実績が、その後の大規模修繕を含めた管理組合主導の運営体制づくりにつながるという点です。
高いと感じたときに理事会ができること
管理委託契約における植栽管理の位置づけを確認する
まず確認すべきは、管理委託契約書における植栽管理の位置づけです。
・植栽管理が「管理業務の一部」として一括契約に含まれているか
・それとも管理会社が別途手配する「専門業務」として扱われているか
・専門業務の場合、理事会の判断で他社に切り替えることへの制約があるか
植栽管理そのものを管理会社経由でしか発注できない、という決まりは通常ありません。この確認だけでも、理事会が取れる選択肢の幅が見えてきます。
現在の作業内容を書面で把握する
記事1で確認した契約内容・年間作業計画・見積もりの推移が、ここでそのまま判断材料になります。まだ確認していない場合は、先にそちらから着手しましょう。
第三者に見積もりを依頼する際の進め方
いきなり管理会社との契約を切り替える必要はありません。まずは以下のステップが現実的です。
1. 現在の植栽管理の作業内容(頻度・範囲・仕様)を書面で確認する
2. 同じ作業内容で、別の業者(管理会社を通さない業者)に見積もりを依頼する
3. 金額差があれば、その事実を理事会内で共有し、管理会社に説明を求める
4. 必要であれば、植栽管理部分のみ直接契約への切り替えを検討する
この「比較する」というステップそのものが、理事会が持てる最も有効な手段です。比較対象がなければ交渉の余地もありませんが、比較対象があれば、管理会社との対話の材料になります。
まとめ
管理会社経由の植栽費用が高いと感じる背景には、専門性の不在と、比較する手段がないことという二重の構造があります。これは理事会の判断力の問題ではなく、情報が最初から片側にしか渡っていないことが原因です。
まずは現状の作業内容を把握し、第三者の見積もりと比較してみることから始められます。
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